中国江西省における李宜雪氏が無実のまま精神疾患患者として拘束された事件の概要

前因

  • 2022年3月14日、李宜雪氏は民事トラブルのため、複数回にわたり丁公路派出所(警察署)に助けを求めたが、問題は解決されなかった。
  • 同年4月14日、再び丁公路派出所を訪れた後、翌日、関係する警官の頼某(賴某)から個人の携帯電話で連絡を受けた。頼某は「事件について話したい」と言い、さらに「人が多いと話しづらい」という理由で李宜雪氏が宿泊していたホテルの部屋に入室。その際、李宜雪氏によると、頼某が部屋内で猥褻行為を行ったという。頼某はその後、謝罪し金銭的補償を申し出た。

経過

  • 4月21日の夜、不眠症で外出していた李宜雪氏は商業施設の階段で警備員と口論となった。警備員は「李氏が飛び降りようとしている」と通報し、丁公路派出所の警官が駆けつけた。現場で李宜雪氏は頼某の猥褻行為を告発したが、その後、警官の1人がボディカメラを停止し、警備員を立ち去らせた。その後、李宜雪氏は階段上から引きずり降ろされ、派出所に連行。警察車両内で短時間留まった後、4人の警官により江西省精神病院に送られ、入院手続きが取られた。

結果

  • 李宜雪氏は江西省精神病院で非人道的な扱いを受けたと述べている。毎日、精神疾患用の薬物を服用させられ、拒否すれば拘束具でベッドに縛り付けられた上で薬を強制的に投与された。5月下旬には何度も意識を失い、自殺を考えるようになった。主治医は「電気ショック療法」を実施しようとしたが、家族の署名が必要だったため、李氏の父親が同意せず実施は見送られた。6月17日、父親により退院したが、退院後に李氏は、入院当日に主治医と丁公路派出所が父親に電話をかけ、「李氏が騒ぎを起こしたため強制入院させた」と伝えたものの、父親は入院を許可する署名をしていないことを知った。
  • 2022年12月21日、南昌市公安局西湖分局は状況報告を発表。頼某が猥褻行為を行った事実はないと認定し、立件しないことを決定。頼某は紛争当事者と私的に会ったことが原因で、派出所から通報・批判され停職処分となり、9月5日に職を辞した。また、李宜雪氏が過去4回公共の場で自殺をほのめかしたことを理由に、身の安全を考慮し丁公路派出所が江西省精神病院に送致したと説明。同病院で精神障害と診断され入院に至った。退院後、李氏は江西省精神病院を提訴し、12月6日に南昌市青山湖区人民法院で公判が開かれたが、裁判所は後日判決を下すと宣言した。

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